この記事の要点
- 米国のAARO(全領域異常解明局)は国防総省の組織で、国家情報長官室(ODNI)と国防長官の連名により、毎年UAPの年次報告書を公表しています。
- FY2023の報告書では受理291件・累計801件、FY2024の報告書(2024年11月公表)では受理757件・累計1652件と発表されました。
- 件数は「未確認のまま残った謎の数」ではなく、その期間に寄せられた報告(過去分の追加提出を含む)の数です。
- 解明された事例の多くは気球・無人航空機・鳥・人工衛星・航空機などありふれた対象に帰着しており、地球外の存在・活動・技術の証拠は確認されていないと報告されています。
- 数字の増減は関心や報告ルートの整備にも左右されます。件数の大小だけで結論を出さない読み方が大切です。
AAROの年次報告とは何か
米国では、空や海などで観測された未確認異常現象(UAP=Unidentified Anomalous Phenomena、未確認異常現象)について、国防総省内のAARO(All-domain Anomaly Resolution Office、全領域異常解明局)が情報を集約しています。UAPに関する年次報告書は、国家情報長官室(ODNI)と国防長官の連名で、毎年公表されています。
年次報告書には、対象期間に寄せられた報告の件数、領域(空・海など)の内訳、解明された事例の内容、引き続き分析が必要な事例の数などがまとめられています。報告書は法律に基づいて議会へ提出され、非機密版が公開されます。
用語について
FY2023・FY2024の件数を確認する
FY2023の年次報告書(2023年10月公表)では、対象期間(2022年8月31日〜2023年4月30日)にAAROが受理したUAP報告は291件で、このうち274件が当該期間に発生したもの、17件が2019〜2022年の過去分の追加提出とされています。これにより累計は801件になったと報告されました。
FY2024の年次報告書(2024年11月14日公表)では、対象期間(2023年5月1日〜2024年6月1日)に受理した報告が757件、そのうち485件が当該期間に発生、272件が2021〜2022年の過去分とされています。AAROの保有件数は2024年10月24日時点で累計1652件と報告されました。
| 報告書 | 対象期間 | 受理件数 | 累計件数 |
|---|---|---|---|
| FY2023 | 2022年8月31日〜2023年4月30日 | 291件 | 801件(2023年4月30日時点) |
| FY2024 | 2023年5月1日〜2024年6月1日 | 757件 | 1652件(2024年10月24日時点) |
なお、FY2024の累計には過去に発生した事例の追加提出が含まれるため、年ごとの受理件数を単純に足し合わせた数とは一致しません。新しい目撃が急増したと即断できるわけではない点に注意が必要です。
件数=未知の証拠数ではない
件数は「謎のまま残った現象の数」ではなく、その期間にAAROへ寄せられた報告の数です。報告の中には、十分なデータがなく分析できないものも多く含まれます。FY2024では、データ不足で分析が難しい444件が、追加情報が得られた場合に再検討するための保管区分(アクティブ・アーカイブ)に置かれたと報告されています。
解明された事例の内訳を見ると、その多くがありふれた対象に帰着しています。AAROはFY2024報告で、当該期間に解明された事例が気球・無人航空機・鳥などに分類され、追加で閉鎖が勧告された事例も気球・無人航空機・鳥・人工衛星・航空機などに帰着したとし、地球外の存在・活動・技術の証拠は確認されていないと述べています。
- 気球(各種)
- 無人航空機(ドローン・UAS)
- 鳥
- 人工衛星
- 航空機
数字を読むときの3つの視点
件数が増えても結論は急がない
報告件数は、その時々の社会的関心や、報告を受け付ける窓口・手続きの整備状況によっても変動します。窓口が知られ、報告しやすくなれば、同じ現象でも記録される件数は増えます。件数の増加が、そのまま「説明のつかない現象が増えた」ことを意味するとは限りません。
AAROの保有件数はその後も増えており、2026年2月の報道では2000件を超えたと伝えられています。一方で、本記事の執筆時点(2026年6月)でFY2025の年次報告書はまだ公表されていません。最新の確定値は、ODNIやAAROの公式発表で確認することをおすすめします。
数字は出発点であって、結論ではありません。何を、どの期間に、どう数えたのかを確かめてから読むことが、情報リテラシーの第一歩です。
よくある質問
米政府は毎年UAPを何件記録していますか?+
AAROの年次報告書では、FY2023(対象期間2022年8月〜2023年4月)に受理291件、FY2024(対象期間2023年5月〜2024年6月、2024年11月公表)に受理757件と発表されています。年により大きく変動します。
累計1652件とは何の数ですか?+
FY2024報告書で示された、2024年10月24日時点でAAROが保有する報告の累計件数です。過去に発生した事例の追加提出も含むため、各年の受理件数を単純に足した数とは一致しません。
報告された現象は地球外のものですか?+
いいえ。AAROは、解明された事例の多くが気球・無人航空機・鳥・人工衛星・航空機などありふれた対象に帰着したとし、地球外の存在・活動・技術の証拠は確認されていないと報告しています。残る多くはデータ不足で判断保留です。
なぜ件数が年々増えているのですか?+
報告窓口の整備や社会的関心の高まりで、報告そのものが増える面があります。件数の増加が、説明のつかない現象の増加を直接意味するとは限りません。
最新(FY2025)の数字はどこで確認できますか?+
本記事の執筆時点ではFY2025の年次報告書は未公表です。最新の確定値はODNIやAAROの公式サイトの発表で確認してください。
