この記事の要点
- 「日本三大UFO事件」は、一般に1972年の介良(けら)事件、1974年の仁頃(にころ)事件、1975年の甲府(こうふ)事件を指す呼び方です。公的な定義ではなく、書籍やメディアで用いられてきた通称です。
- いずれも1970年代の「オカルトブーム」期に子どもや若者の目撃として報じられ、当時広く知られました。
- 一方で、各事件には物理的な矛盾の指摘、別の物体(灰皿など)で説明できるとする説、後年の食い違う証言、研究者によるHOAX(作り事)評価など、懐疑的な見方も併存します。
- 「未確認」は正体が確認できていない状態を指す言葉で、それ自体が地球外を意味するわけではありません。
- 肯定・否定どちらの主張も、一次情報の確認と検証を抜きには判断できません。まずは事実関係を分けて読むことが出発点になります。
「日本三大UFO事件」とは何か
「日本三大UFO事件」とは、日本国内で過去に報じられたUFO関連の出来事のうち、とくに知られた3件をまとめて呼ぶ通称です。一般には、1972年の介良(けら)事件、1974年の仁頃(にころ)事件、1975年の甲府(こうふ)事件を指して使われます。
これは公的機関が定めた分類ではなく、書籍やメディアで広まった呼び方です。3件のうち甲府事件と介良事件を挙げ、「もう一つ」を仁頃事件とする紹介が多く見られますが、別の事件を3つ目に挙げる例もあり、選び方には幅があります。
用語の整理
3事件の概要を表で整理
まず、年代・場所・主な内容を一覧で見比べてみます。細部は資料によって日付や数値が少しずつ異なるため、ここでは複数の資料で共通して語られている範囲にとどめています。
| 事件 | 年 | 場所 | 主な内容(とされる) |
|---|---|---|---|
| 介良事件 | 1972年 | 高知県高知市 介良地区 | 中学生らが手のひらサイズの発光物体を目撃し、捕獲したと語った。物体は出現と消失を繰り返したとされる。 |
| 仁頃事件 | 1974年 | 北海道北見市 仁頃 | 農村に住む男性が宇宙人を目撃し、UFOに連れ去られたと主張。テレパシーなどの体験も語られた。 |
| 甲府事件 | 1975年 | 山梨県甲府市 | 小学2年生2名が下校中にオレンジ色の物体を目撃し、ぶどう畑で搭乗者らしき姿を見たと語った。 |
3件はいずれも、目撃者本人の証言を中心に語られている点が共通します。写真や物体そのものが第三者によって科学的に保存・検証された、という形では残っていません。
甲府事件(1975年・山梨)
1975年2月23日の夕方ごろ、甲府市の小学2年生の男子2名(いとこ同士とされる)が、下校中にオレンジ色の物体を目撃したと語りました。物体はぶどう畑のあたりにあり、そこから搭乗者らしき姿が現れた、という証言です。子どもたちは、肌が茶色く、銀色の服のようなものを着た存在を見たと話したと伝えられます。
現場とされたぶどう畑では、コンクリート柱が壊れていた、地面に痕跡があった、などの報告がありました。地元の高校教諭が生徒らと現場で計測し、人工的な残留放射能を検出したと報告した、とする記述もあります。
懐疑的に見ると
介良事件(1972年・高知)
1972年の夏から秋にかけて、高知市の介良地区で、複数の中学生が水田の上に浮かぶ発光物体を見たと語り、やがてそれを捕まえて家に持ち帰ったと話しました。物体は直径18cmほど、高さ10cmほど、重さ1kg台で、表面が銀色で灰皿のような形だったと描写されています。捕まえた物体は保管中に消え、近所で再び見つかっては消える、ということを繰り返したとされます。
作家の遠藤周作がのちに現地で当事者に取材し、自著のエッセイに記録しています。超常現象に懐疑的だった遠藤は、子どもたちの様子が「作り話をしているようには見えなかった」として、断定を避け判断を保留したと伝えられます。
一方で、懐疑的な検証団体ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)の関係者は、描かれた物体の形が市販の金属製(南部鉄器)の灰皿によく似ているとして、2017年に類似品を入手したうえで、灰皿による見間違いやいたずらの可能性を指摘しています。また、後年の取材では、当事者の証言が「作り話だった」とするものと「本当にあった」とするものに食い違い、結論が一つに定まらない状態が伝えられています。
両論が残る理由
仁頃事件(1974年・北海道)と、三大事件の読み方
仁頃事件は、1974年4月ごろ、北海道北見市仁頃に住む男性が、自宅前で奇妙な小柄の存在を目撃し、UFOに連れ去られたと主張したものです。タコやイカのような複数の足を持つ宇宙人、テレパシーでのやり取りといった、当時のSF的なイメージに沿った内容が語られました。
この事件は当時の児童向けUFO雑誌などで大きく取り上げられ、知名度を得ました。ただし内容が当時の流行を強く反映していることから、専門の研究者の間ではHOAX(作り事)と評価する見方が一般的です。三大事件に数える紹介がある一方で、3つ目には別の事件を挙げる立場もあるのは、このためです。
3件に共通するのは、語られた当時の社会的な空気(オカルトブーム)の中で広まったこと、そして証言が中心で、第三者が検証できる確かな物証は残っていないことです。だからこそ、肯定の主張も否定の主張も、それ自体を鵜呑みにせず、いつ・どこで・誰が・何を確認したのかという一次情報に立ち返って読むことが大切になります。
よくある質問
日本三大UFO事件とは具体的にどの事件ですか。+
一般には1972年の介良(けら)事件、1974年の仁頃(にころ)事件、1975年の甲府(こうふ)事件を指します。ただし公的な定義ではなく書籍やメディアで広まった通称で、3つ目に別の事件を挙げる例もあります。
これらは本当に地球外の存在だったのですか。+
そう確認された事実はありません。「未確認」は正体が確認できていない状態を指す言葉で、地球外を意味するものではありません。各事件には物理的矛盾の指摘、別の物体で説明できるとする説、後年の食い違う証言、HOAX評価など、懐疑的な見方も併存しています。
介良事件の物体は何だったと言われていますか。+
懐疑的な検証では、描かれた形が市販の金属製(南部鉄器)の灰皿によく似ているとして、灰皿による見間違いやいたずらの可能性が指摘されています。一方で、判断を保留した取材記録も残っており、結論は一つに定まっていません。
仁頃事件はなぜ評価が分かれるのですか。+
当時のオカルトブームの流行を強く反映した内容であることから、専門の研究者の間ではHOAX(作り事)とする見方が一般的です。三大事件に数える紹介がある一方、3つ目に別の事件を挙げる立場もあります。
